防犯ブザーや催涙スプレー、警棒、ボイスレコーダーなど、防犯グッズは数多く存在している。しかし、どこか威圧的な印象を与える見た目の製品が多く、毎日持ち歩くには心理的負担が大きいとも言えるのではないだろうか。
そうした中、シンプルかつ美しいデザインでありながら、防犯機能や見守り機能も兼ね備えたスマートお守り「omamolink」が誕生した。
今回は、同製品の企画と開発を手がけている石川加奈子さんに、スマートお守りを思いついたきっかけや商品の詳細についてお伺いした。
スマートお守り「omamolink」の誕生秘話
お守り×テクノロジーで、安心安全な生活を提供
─【聞き手:松嶋、以下:松嶋】本日はよろしくお願いいたします。始めにomamolinkについて、簡単にご説明いただけますか。
─【話し手:石川氏、以下:石川】はい。omamolinkは、大切な人の毎日をそっと見守る充電式のスマートお守りです。具体的には昔ながらのお守りとテクノロジーを組み合わせたもので、防犯ブザーや自動録音、SOS発信といった機能を兼ね備えています。持っていると安心できる従来のお守りに、実際に身を守ってくれる機能がプラスされたと考えていただくとわかりやすいかもしれません。
─【松嶋】このアイディアは何をきっかけに思いついたのですか?
─【石川】私自身が若い頃に性暴力被害を受けたことがあり「あの時どうすればよかったのだろう。また同じようなことがあったら、今度はどうすればいいのだろう」と、20年間ずっと考えていました。そしてある時「楽しくポジティブな気持ちで毎日持ち歩けるようなもので、いざという時には身を守れるようなものがあれば、あの時の自分も救えたのかもしれないし、これから先同じような悲しい目に遭う人を助けることができるかもしれない」と思いついたのです。
このアイデアを思いついたのが2019年の春のことです。アイデアを形にするべく同年7月に株式会社grigryを創業しました。
「こんな悲しい思いしてほしくない」自身の苦しい経験を活かし挑んだ開発
─【松嶋】なるほど。ご自身の経験から思いついたものだったんですね。
─【石川】はい。思いついた直接のきっかけは、先ほどお話しした通り若い頃の性暴力被害の体験でしたが、実は別の経験もomamolinkの開発に強く結びついています。
というのも、起業したまさにその年に、祖母と母を立て続けに亡くしました。
当時祖母は一人暮らしをしていて、母は毎日11時と16時に電話をかけるようにするなど、体調を気遣っていました。ある日祖母が電話に出なかったのですが、これまでにもお昼寝をしていて電話に出なかったことがあったため、母は「また夕方にかければいい」と特に気にしていませんでした。
しかし、16時に再度電話をかけたところ、その時も祖母は電話に出ませんでした。母は流石におかしいのではないかと思い、近所に住んでいる親戚に様子を見に行ってもらったところ、祖母は家で倒れて亡くなっていました。解剖の結果、死亡推定時刻は12時。もちろん正確な時間でないことは承知していますが、もしかすると11時に電話した時、祖母は苦しんでいて電話に出られなかったのかもしれない、発見が早ければ助かったのかもしれない。そう思うと、今でも居た堪れない気持ちになります。
また、その半年後には、母も自宅で1人でいる時に倒れ、亡くなりました。母は二世帯住宅で妹家族と暮らしており、その日はたまたま父が仕事で外出する日で、妹家族も仕事や学校に行っていたため不在でした。夕方に妹が帰宅した際、倒れている母を発見し、すぐに救急車を呼びましたが、既に心肺停止状態だったそうです。原因はくも膜下出血でした。母のケースも、発見が早ければ一命を取り留めることができたかもしれません。
大好きな祖母や母との突然の別れ。誰も悪くないとはいえ、大切な人たちをたった1人でこの世を旅立たせてしまったことは、悲しくてなりません。
実は、私のように大切な人にお別れを言うことができない方は、とても多いのだそうです。私自身、もう二度とこのような悲しい思いはしたくないですし、同じような経験をされる方を減らしたいと思いました。このプロダクトにはその可能性があるのではないかと思い、より一層開発への思いが強くなりました。
omamolinkは、何かあった時にすぐSOSを出せるものです。祖母や母のように離れて暮らしていたとしても、体調が急変した際にSOSを出してもらうことで、助けてあげられる可能性があります。
若い方のみならず、ご高齢の方や持病をお持ちの方にも、是非omamolinkを持っていただきたいなと思っています。
─【松嶋】辛い経験をプロダクト開発に活かされているんですね。
─【石川】はい。確かにどれも辛い経験でした。しかし過去は変えられません。今を生きる自分にできることは、そういった経験とどのようにして折り合いをつけるのか、その一つです。これらの経験を活かし、他の誰かの役に立つことができるのなら、私自身の悲しい思いが浄化されると言いますか、過去の自分を救うことにも繋がるのではないかと思ったのです。
人の温かさ・優しさとテクノロジーを融合させ、人々の繋がりを強化
ユーザーとみまもりびと、双方にとって優しい世界を実現
─【松嶋】omamolinkで実現したいことについてお話いただけますか。
─【石川】私たちはomamolinkでSOS通知を受け取る人のことを“みまもりびと”と呼んでいます。omamolinkは、持っている人に安心安全を与え、“みまもりびと”にも「大切な人に何かあった時は助けてあげることができる」という安心感を与えるものです。omamolinkは大切な人同士を安心でつなぐハブであり、人と人が繋がり見守り合うことで、より優しい世界を実現できるのではないかと考えています。
─【松嶋】近年は便利なデバイスも増えていて、防犯グッズも多様化していますが、見守ってくれる存在がいなければ、孤立してしまう。omamolinkなら、テクノロジーを通して人を繋ぐことができるんですね。
─【石川】そうですね。私は人の温かさが何より大切だと思っています。人は一人では生きていけないと思いますし、他者との繋がりは生きていく上でのエネルギーにもなるでしょう。
昔は、物理的な距離がある際、繋がりを感じることができる手段はとても限られていました。しかし今は違います。たとえ物理的な距離が離れていたとしても、テクノロジーのサポートによって、お互い繋がり続けることができます。テクノロジーは、人と人の架け橋になるものだと思いますし、omamolinkでそういった繋がりを強化していきたいです。
自分自身の力で人生をデザインできると伝えるプロダクト
─【松嶋】お守りはプレゼントされることも多いですよね。お守りをコンセプトにされた背景には、そういったことも関連していたのでしょうか。
─【石川】おっしゃる通りです。お守りは自ら購入されることももちろんありますが、家族や友人など大切な人から贈り物としていただくことも多いものです。そのような経緯で自分のもとに来たお守りには、持っているだけで贈ってくれた人との繋がりを感じさせてくれる効果があります。そのため、omamolinkもプレゼント仕様を意識しています。家族やパートナーなど、大切な方への贈り物としてもご利用いただけると嬉しいです。
また、“みまもりびと”をお願いする過程でのコミュニケーションも意識しています。“みまもりびと”を設定するためには、ユーザーが自ら“みまもりびと”になって欲しい人にお願いをする必要があります。そして、お願いされた側が「みまもりびとアプリ」をインストールし、ユーザーに対して「みまもりリクエスト」を送信します。その後ユーザー側がリクエストを承認することで、“みまもりびと”として設定されます。
逆のパターンで、“みまもりびと”になりたい人が、omamolinkをプレゼントして「見守らせてください」とお願いすることもあり得ると思います。そのようなやり取りを通して、より関係性を深められるのではないかと考えています。
─【松嶋】みまもりびとを誰にお願いをするのか、自ら選べるというのは大きなポイントのようにも感じました。
─【石川】実はomamolinkの根底には、「自分で自分の人生をデザインして欲しい」という想いも込められています。大人になるということは、全てにおいて自分で選択をしていくことだと思います。どう生きていくのか、どのような人と関わっていくのか、全て自分で決めることができる。私たちには、選択する権利があるのだと伝えたいですね。
いざという時には、身を守ってくれる画期的なお守り
「防犯」と「見守り」、二つの機能でユーザーを守る
─【松嶋】omamolinkについて改めてご紹介いただけますか。
─【石川】omamolinkは昔ながらのお守りに、防犯機能と見守り機能をプラスしたスマートお守りです。
これまでにない新しい点がいくつかありますが、特に「振動で起動する」点が特徴的なところです。予期せぬトラブルに巻き込まれた際などには、頭が真っ白になってしまい動けなくなる可能性があります。そういった時には、カバンの中からグッズを探したり、ボタンを押したりといった動作をすることは難しいです。
そこでomamolinkは、カバンの中にさえ入れておけば、何かあった際にカバンを何度か上下に振ることによって防犯機能やSOS発信が作動するようにしました。
─【松嶋】振動で起動するということは、誤作動が気になる方もいらっしゃるのではないかと思いました。
─【石川】そうですね。誤作動を心配されるお声はよくいただきます。この点につきましては、日常の振動では起動しないように独自のプログラムを開発しています。
振動の感度についてもユーザー自身で設定できるようにもしていますし、日常生活で安心してご利用いただけるよう、プリセットモードも用意しています。
「ふたりきりモード」は犯罪被害の対策を意識して設けました。密室で行われることの多いセクハラやパワハラ、顔見知りの人からの性暴力などは、事実を証明することが極めて難しいものです。証拠がないことに加え、パワーバランスも相まって、泣き寝入りする人も多い。そのようなことを意識し、いざという時には証拠を残せるよう自動録音機能をつけました。
防犯ブザーモードにするか、自動録音モードにするか、その時々でユーザー自身が切り替えることができます。
─【松嶋】細部にまでこだわって設計されているのですね。見守り機能についてはどういったものなのでしょうか。
─【石川】何か緊急のことが発生した際に、“みまもりびと”にSOSを発信できる機能です。“みまもりびと”はomamolinkユーザー1人につき、最大5人までお願いすることができます。
ユーザーがSOSを出した時にだけ“みまもりびと”に位置情報が届くので、監視や束縛感はありません。プライバシーを守りながら、緊急事態に備えられるといった点がポイントです。
─【松嶋】想定しているユーザー層についても教えていただけますか。
─【石川】omamolinkは、自分の人生を自分でデザインしていく「大人向け」の防犯・見守りグッズです。ご自分のライフスタイルに合わせて機能をカスタマイズできるものですし、行動範囲が広がってくる中学生や高校生、大学生など学生のみならず、社会人や妊婦さん、ご高齢の方、持病をお持ちの方など、幅広い層の方にご利用いただけると思っています。
─【松嶋】金額や料金プランについてもお話いただけますか。
─【石川】デバイスと2年間の通信費込みで24,800円(税込)です。最初にご購入いただいた後、2年間は無料で利用できます。3年目以降も引き続きご利用いただく場合は、通信費として月額580円(税込)を予定しています。
なお、omamolinkをご利用いただく際にインストールしていただくアプリ(omamolinkアプリとみまもりアプリ)は無料でご利用いただけます。
─【松嶋】商品の販売はいつ頃を予定されているのでしょうか。
─【石川】3月26日から自社ECサイトより予約販売を開始しました。Makuakeで応援購入をしてくださった方、予約購入してくださった方には、5月末から順次発送していく予定です。
使い方は無限大。一人ひとりに合わせたオリジナルお守り
─【松嶋】お話をお伺いしていると、防犯だけでなくさまざまなことに利用できそうだと思いました。
─【石川】通常の防犯対策としてはもちろん、冒頭でもお話した通り、離れて暮らす家族の緊急連絡手段としてもご利用いただけます。omamolinkは、お使いになられる方によって様々な使い方ができるものとなっています。
─【松嶋】デザインもシンプルで美しいため、老若男女を問わず持ち運ぶのが楽しくなりそうですね。
─【石川】ありがとうございます。毎日持ち歩くものだからこそ、見ているだけで明るい気分になることを意識してデザインしています。楽しくご利用いただけるよう、充電時にアプリ上でおみくじが引ける機能も実装しています。
また、御守り袋の中に入っている内符をomamolinkに格納できるようにもなっています。例えば、縁結びと健康長寿、合格祈願など、お持ちのお守りがいくつかあれば、(内符の大きさや厚さにもよりますが)それらの内符を全て格納することもできます。目標や願い事を書いた紙などを入れるのもおすすめです。さらに蓋の裏にプリクラを貼ったり、家族やペットの写真を入れたり、色々と楽しむことができます。「自分だけの神様のおうち」としてカスタマイズしていただけると嬉しいです。
omamolinkを通して、ユーザーの生活に寄り添う
多様な展開ができる、独自のプロダクトが魅力
─【松嶋】今後の展開についてお話いただけますか。
─【石川】外観をカスタマイズしていただけるように、omamolink専用のケースも制作中です。季節や干支に応じた限定ケースも販売していきたいと考えています。充電器についても、神棚を模したようなものがあると面白そうだなと思い、アイディアを練っているところです。
また自動録音機能は不要だという方もいらっしゃるかもしれませんし、防犯ブザーとしてのみ使用できるようなomamolink liteやomamolink for elderなど、機能を限定したモデルも展開できるといいなと思っています。
将来的には海外展開も考えていて、国によってデバイスの形を変えた方がいいのかどうかも見極めている段階です。
─【松嶋】直近では、どのような部分に力を入れていく予定なのですか。
─【石川】サービス開始後はPRに力を入れ、omamolinkの認知向上に注力していきたいと考えています。オウンドメディアを通じた情報発信やコミュニティの創成にも取り組んでいきたいと思っています。その他学校や塾、神社仏閣との提携も引き続き模索していきます。
─【松嶋】高齢者向けの施策として行政との連携もできるでしょうし、さまざまな展開が考えられますね。
─【石川】そうですね。想定しているユーザー層が厚いからこそ、展開できる方向性も色々とあると思っています。個人的にはユーザー同士を繋げるようなサービスも提供していきたいと考えてます。
grigryのミッションは「人々を『ネガティブストレス』から解放する」こと。grigryは、より自由に自分らしく人生を楽しむライフスタイルを提供する会社ですので、omamolinkを通してユーザーの皆さんの生活に寄り添っていきたいです。
人生において人との出会いはとても重要です。omamolinkは幅広い年齢の方にお使いいただけるものですので、ユーザー同士の繋がりや人との出会いを提供できる可能性を秘めています。
omamolinkは人生の選択肢を広げてくれる存在
─【松嶋】omamolinkは持つことで身を守ってくれるだけでなく、人生の選択肢を広げてくれるものにもなり得ると。
─【石川】おっしゃる通りです。omamolinkは「選択肢を増やすためのもの」という前提があります。なぜなら、omamolinkを持っているだけで100%安全が保証されるわけではないと思うからです。私は「omamolinkを持っていれば100%安心」とは言いませんし、思いもしません。あくまでもomamolinkは安心安全な生活をサポートする一つのツール、選択肢の一つに過ぎません。大切なことは、自分自身のライフスタイルに合わせて使いたいものを選べることです。今までは選択肢があまりにも少な過ぎました。omamolinkを世に出すことで、選択肢を一つ増やすことができると考えています。
─【松嶋】選択肢を増やすというのは「自分自身の力で人生をデザインして欲しい」というお話にも繋がる部分ですね。
─【石川】はい。自らの意思で選ぶ行為に意味があると思っています。自分で選択した道を歩きながら多くの体験をして、多様な人と出会うことで人生に彩ができていく。視野が狭くなっているときは気付けないかもしれませんが、世界は想像以上に広く、さまざまな考えの人が存在しています。いつもとは違うコミュニティに足を伸ばしてみることで、初めて見えてくるものもあるかもしれません。初めは戸惑うこともあるかもしれませんが、挑戦し続けることで、きっと人生が面白くなるのだと思います。
新しいことを始める時のお供として、もしくは何かに挑戦するきっかけとして、omamolinkが役に立つことができたなら、何より嬉しいです。
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